みなさん、こんにちは。
2001年、25歳の時にタイで起業した前田千文です。
「女社長の海外起業と経営と日常生活を語るブログ」にご訪問頂きありがとうございます。
このブログにたどり着いたというあなたは
外国や海外での起業、 もしくは海外に住んでみたい…など
どんな理由があるかはわかりませんが、
海外に興味があり、かつ、いつかは起業してみたいという方なのではないかと思います。
私はタイで会社を20年以上経営していますが
いまだにタイ人の国民性なのか、その人個人の個性なのか…癖なのか…
よく解らないことが多々あります。
今日は日本人である私が、異文化であるタイで遭遇した
社員による窃盗、横領の話をしたいと思います。
タイ起業時の不正行為:実際の事例紹介
事例1:経理部門での金銭横領
先日、来客がありました。
雑談をしている際に話の流れで、
経理が50万バーツ横領をしたという話しになりました。
50万バーツを盗んだ本人(経理)が、
と言って来たそうです。
これは横領がばれたので、このように言ってきたわけであり、
ばれなければ、良いということです。
(普通、バレるのを前提でお金を盗まないけど…)
タイでは、横領などで刑事事件となり、
最終的に刑務所に収監された…としますと基本、お金は返ってきません。
お金を返してほしければ、民事裁判を起こすしかありません。
なので、「お金は返すので、訴えない」か
「お金は返せないので、刑務所に入ります」という選択になります。
どっちも嫌なので、タイではほぼ100%失踪するのがパターンです(要は逃亡)。
事例2:工場内での資材窃盗事件
数年前、夫の工場で社員3名が窃盗をしたのですが、1名だけが捕まりました。
盗んだものは資材で被害金額は100万バーツです。
窃盗をした本人ではなく親が、
と言ったそうです。
日本でもドラマなどで、親が子供の不祥事を隠ぺいするシーンがあり
毒親よばわりされますが、タイでは、こういうことは普通だと思います。
夫は、
と言ったところ、絶対に言わなかったそうで結局、収監されました。
懲役9年です。
タイでは、このように考える人もいます。
捕まったら運が悪い=徳(タイ語でタンブン)が足りない
夫の関しては、心が狭いと思われるらしいです。
事例3:運転手によるガソリン窃盗と転売
タイは日系の製造会社が多く進出しており
工場ではトラックや社有車がたくさんあります。
と思われている方もいらっしゃると思います。
そして、
という話もよく耳にします。
実際に地方の工業団地の近くには
そういった盗んだガソリンを買い取る場所が多数あります。
日系メーカーのS社長は、トラックの燃費が著しく悪い事に気が付き
と感じたそうです。
一部のトラックはガス車に改造し、乗用車は全てガス車に改造。
車にガソリンそのものを入れなくなりました。
(現在は改造ができなくなってるようです。)
ただ一部のトラックは改造が出来ず、相変わらず燃費が悪いまま。
GPSを掲載しガソリンタンクをチェックして、
データーが著しく下がっていても“盗難”の証拠にはなりません。
走行距離分のガソリンしか積まない…などしても著しい効果は上がりませんでした。
そこでS社長は考えました。
運転手全員に1ヶ月間探偵をつけたのです。
毎日、自社の工場から各県の工場に配送するのですが、その足取りを探偵が密着しました。
そうしたところ、出るわ、出るわ…
ガソリンの抜き取りと密売が…。
ハイ、立派な窃盗罪です。
探偵はその証拠写真を撮り、
その写真を証拠物として裁判所に提出しました。
一般の社員であれば、すぐに解雇なのですが
S社長の会社では、窃盗をした運転手が労働組合の執行委員をしています。
労働組合の執行委員になると簡単には解雇できません。
解雇のためには裁判所に通知し、手続きを踏む必要があります。
そして…
ある日…運転手の元に裁判所から通知が来ました。
窃盗罪で会社から訴えられている
と言う通知です。
通知が来たら逃げようがありません。
運転手よりS社長の元に
と来たそうですが、
自主的な退社ですと“退職金積立制度”があるのでお金を払わないといけません。
タイでは自己都合による退職の場合は退職金がありません。
会社の制度として退職金積立金制度がある場合は、退職時に満期となりお金が払われます。
積み立ては労使折半です。
本人が法律違反や就業規則違反で解雇となる場合は、本人が積み立てた分のみ支払われます。
“泥棒に追い銭”→ありえません。
あくまで解雇です。
もう裁判所から通知が来ていますから裁判手続きに入ります。
S社長が原告ですので、訴えを取り下げないと
この運転手は窃盗罪で有罪となり牢屋行きです。
訴えを取り下げる=示談なのですが、S社長は…どうするのでしょう?
他の運転手たちの証拠写真もあるそうで、順次手続きをするそうです。
他の運転手は、おとなしーく、まじめーに仕事をしているそうです。
証拠写真を撮られていることも知らずに…です。
運転手が会社のトラックのガソリンをパイナップル畑で売っていた
ある日、S社長のもとに知らない男性から電話がかかってきました。
○○警察の○○と申します。
御社の運転手と思われる者が○○工業団地近郊の
××というパイナップル畑でガソリンを売っています。
なぜ、御社の運転手とわかったか、ですか?
トラックに御社の社名が入っています。
どうやら、会社のトラックのガソリンを出先で転売していたようです。
証拠を確実に押さえなければ…。
他の運転手も労働組合の役員だから、すぐには解雇が出来ないな…
この日の運転手はXだな…。
もしかしたら…X以外の他の運転手もガソリンを盗んで転売している可能性があるな…
そして… S社長…
運転手全員の行動を見張るよう探偵を付けました…
そうしたところ…警察の言う通り会社のトラックのガソリンを取り出して
工業団地のはずれにあるパイナップル畑の中で売っていました。
探偵はその写真を望遠カメラで撮影してきました…
あくる日の朝…ガソリンを盗んでいた運転手Xを部屋に呼びます。
運転手Xの表情が見る見る変わります…
私が盗んだという証拠があるのか!!証拠を出せ!
盗んでもいないのに盗んだという言いがかりをつけるのは人権侵害だぞ!
不当解雇だぞ!!!!
S社長は…
証拠?ありますよ。
でも、ここでは開示できません。
私と今から○○警察署に行きましょう。
警察署内で証拠を開示します。
いいですね?
X運転手…
今、私は一身上の都合で会社を辞めます!
お世話になりました!
ダダダダ~~~!!!!!
社長室を飛び出し、ほぼ… 逃走…
その後すぐに…残っていた他の運転手も消えてしまったそうです…。
S社長は警察からに電話があった際にタイ人で工場を経営するB社長に
このことを相談したそうです。
B社長は…
Sさん…このケースは…そうですね~
仕返しや逆恨みなどが怖いですから、
証拠の提示は警察の前ですることにしましょう。
それで本人が辞めるかどうか、見てみましょう。
辞めなかったら、証拠はありますから警察に突き出すだけですが…。
タイ式に言いますと、逃げ道を与えるのは“お目こぼし”ですかね~。
S社長はタイを熟知したタイ人経営者のB社長の通りに
タイ式にやったのでした…
私だったら…ですか?
冷静に対処する自信がないですね…
文化の差異:タイの価値観と日本人の理解のギャップ
会社のお金を横領した経理…
会社の資材を盗み、結果、収監されてしまった社員…
社有車のガソリンを抜き出して転売していた運転手…
日本人的には、
と思うのが一般的なのですが
どうもタイは違うようです。
(あくまでも、ごく一部ではありますが…)
捕まった本人は…
と思ってて、
子供が可哀相なんで
と言った親は被害者である会社の社長に対しては
(見逃してくれなかったので)
とか…。
夫は…
え?ええ??
なんか私の判断って、人としておかしいんでしょうか???
と私に確認してきます…(おかしくないと思います、ハイ)
個人、国、はたまた時代によって
価値観、正しいor間違っている、などなど
物事の判断基準は変わってくると思います。
ただ私としては…捕まったのは運悪い…とか、
徳が足りない…とか、
示談に応じなかったので性格悪いとか…。
やっぱり、このようには思えないですね…。
根本的に、こういう考えは在タイ23年でも理解できないです…。
こういった事は、たまたまだとは思いますが…。
今後、起業を目指す方の参考になれば幸いです。
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