【注目記事】在タイ日系企業が導入すべき勤怠管理システム(2024年度版)

経営戦略会議を通じたタイ人管理職の教育方法

「女社長の海外起業と経営術を語るブログ」にご訪問頂きありがとうございます。

このブログにたどり着いたというあなたは

外国や海外での起業、 もしくは海外に住んでみたい…など

どんな理由があるかはわかりませんが、

海外に興味があり、かつ、いつかは起業してみたいという方なのではないかと思います。

特に今日のトピックは、タイ人管理職に関することですので

タイに法人がある方や、実際にタイで経営側にいらっしゃる方かもしれません。

今日は実際に私が経営者として行っている

経営戦略会議を通じたタイ人管理職の教育

についてお話ししたいと思います。

目次

経営戦略会議とは何か?私の会社のケース

経営戦略会議で重要なこと

私はタイで会社を20年間経営しており、かつタイ人社員と働き、

そしてタイ人を管理職として登用・教育してきました。

また、タイ労働法の講師をしているということもあり

よく、このような質問を頂きます。

前田さんの会社では『経営戦略会議』と言うものをされているようですが

一体何をするんですか?

また、その目的と実際にやってみた効果はどうなんでしょうか?

今からお伝えすることは

あくまでも私の会社のケースとなります。

…というのは

経営戦略会議は会社ごとに全部違うからです。

2018年度の経営戦略会議の一コマです。発言内容は全て、紙に書きだして見えるようにします。

当然ながら、経営者が変われば、事業の目的も変わってきます。

目指している会社像も異なります。

よって、経営戦略会議を行う目的も違ってきます。

重要なのは、経営戦略会議を実施することではなく

経営戦略会議で決めたことを実際の行動として落とし込み、実施し続けるかどうかだと思います。

戦略を立てて終わり!ではありません。

(日本のことわざに『絵に描いた餅』ってありますよね?)

私の会社は、2014年から毎年1回、年度初めの4月に経営戦略会議を実施しています。

当社の翻訳事業部長のエイム女史です。翻訳事業のすべては彼女に任せています。

経営戦略会議の目的は?

まず、私が経営戦略会議を行おうと思った『目的』ですが、主に2つありました。

まず1つ目は、目標に向かって意志を一つにし達成したい

2つ目は、社員に経営者視点をもってもらいたい。

この2つでした。

TJ Prannarai
2019年度の経営戦略会議の一コマです。みんなでマッサージ!

私は経営者であり、会社のオーナーですので、

私が決めて、トップ・ダウンで社員に命令でも良かったのかもしれません。

会社の創業時はトップ・ダウンで確実に早く行動することが求められますが

ある程度、会社の年数が経過し、人材も定着してきた場合は

トップ・ダウンである部分と、ボトム・アップで社員を教育し成長を促す経営が求められると感じています。

2017SP1
SWOT分析中です。

私が起業したのは2001年で、経営戦略を社員と一緒に行うようになったのは2014年からです。

創業から13年が経過してからです。

結果論ですが経営戦略会議という場を使って、

社員一人一人が自分の立場以外の、他の人の立場を疑似体験することにより

相手の状況を理解し一緒に考えることで

社員全員の行動に統一感が出ました。

その結果、私自身が経営者としてだいぶ楽になりました。

特に、2020年3月からのコロナ禍で会社の経営状態が悪化しましたが

経営戦略会議を通じて、一緒に考え行動してきた社員のお陰で

2008年のリーマンショックで、売り上げが70%ダウンし、

倒産の危機に陥った時の心理状況とは全く違います。

経営戦略会議では何を行うのか?

経営戦略会議では、次のようなことを行っています。

会議のトピックは毎年変わりますが、2014年、初めて経営戦略会議を行ったときは

以下のようなことを行いました。

1. 会社のビジョン、ミッション、コア・バリューの作成。

私の会社には、私が2001年創業時に作成したミッション、ビジョン、コアバリューがあります。

ただ、それはタイ人社員にとってはしっくりこないということがわかり

6時間かけ、新たな時代を見据えたミッション、ビジョン、コアバリューを作成しました。

ミッションとは、「会社の存在意義、使命」~なぜ、ここにいるのか。何のためにここにいるのか。

ビジョンとは、「会社の目指すべき将来像」~どんな会社を創り出すのか。

コアバリューとは、「会社の信念」~どんな意志を持って仕事に臨むのか、

と定義しています。

私は、ミッション、ビジョン、コアバリューは会社において最も大切であると考えています。

これらは「会社のDNA」であり、「会社の根本」であるからです。

樹木でいうと「根っこ」の部分にあたります。

「根っこ」がしっかりしていないと、どんなに肥料をあげても、良い木は育ちません。

会社も同じであると考えています。

私は会社において迷いが生じたとき、

必ず原点である「ミッション、ビジョン、コアバリュー」に立ち返ります。

私(前田千文)
ミッションに沿って仕事をしているのか?

と自分自身に問いかけています。

Mission Statement of TJ Prannarai
当社のミッション、ビジョン、コアバリューです。毎朝朝礼で唱和しています。

2. 現在ある課題のあぶり出し

私が経営者としている『会社の課題』と、社員が見ている『課題』を出していきました。

その課題を重要度と緊急度に分け、1年かけて改善する『目標』にしました。

その課題から見えてくる、

『今は行っていないけど、これからやった方が良いこと』=ストレッチ目標として設定したりします。

部門ごとに分かれてじっくりと話し合います。

3. SMARTに沿った目標の作成と優先順位、重要度の検証と確定

課題および目標を、実際の行動計画表に落とし込んでいきます。

行動計画表はSMARTに沿って作成します。

SMARTとは、

Specific(具体的で)、

Measurable(計測可能=数字)、

Agreed upon(達成可能な)、

Realistic(現実的で)、

Timely(期限が明確である)

の頭文字をとったものです。

このルールに従って作成していきます。

TJ Prannarai
個人や部門が決めた目標は、全体にシェアするため発表してもらいます。

4. 会社の強みと弱みの分析

SWOT分析を使い、当社の強みと弱みを分析します。

会社だけではなく、部門の分析も行います。

感覚や感情で話をすると冷静に考えられず論点もずれるため、

論理的に考えるため分析手法を使って会社を見ていきます。

SWOT分析の結果を見たうえで今後の方向性を決めていきます。

場合によっては3C分析なども入れていきます。

経営戦略会議の参加者は、入社年度、役職、部門、国籍を問わず発言が可能です。

5. 事業の選択と集中

2001年に創業した時は、翻訳と通訳派遣を事業としていましたが

この2つの事業を核にして、どんどんと枝葉が分かれていきました。

現在では、翻訳、通訳派遣、書籍の出版、DTP、労務コンサルティングも行っています。

細かいことを言うと、

法律情報を配信し、労働法の教鞭をとり、会社内で使うテンプレートも販売し…

仕事が広がっていきました。

仕事が広がるのは良いことだと思いますが

広がるということは、他の部分にしわ寄せが来ます。

人材配置、時間、仕事の深度など…

そこで、現状どんな仕事があるのか、細かい部分まで書き出しました。

その中で継続するもの、やらないこと(やめること)を決めていきました。

選択と集中することで、人材、時間、お金を投入することを決めていきました。

全てではありませんが大まかにこんな感じです。

あとは決めたことをただ実践していきます。

実践する・・・と言いましてもベンチマーク的なものがないと中だるみしますよね。

ですので、必ず途中経過を確認します。

途中経過は毎月の月例会議で行います。

月例会議を行い、経営戦略会議で決めたことのPDCAを行う

経営戦略会議で決めたこと以外はやらない。

当社では、毎月1回、全体会議があります。

それが『月例会議』です。

月例会議の様子(TJ Prannarai)
月例会議の様子です。

経営戦略で決めたことをこの毎月の月例会議で常に確認します。

会社の現在地はどこにいて、どこに向かっているのかを全員で確認し認識します。

月例会議の時点で問題があれば修正します。

実際に行動していく中で、違ったことをやりたいというケースも出てきますが

『選択と集中』で、経営戦略会議で決めたこと以外はやりません。

経営戦略会議で決めて、行動計画表に落とし込んだ目標と計画をひたすらやり続けます。

毎月、毎月PDCAサークルを回します。

経営戦略会議の導入に反対される

実は経営戦略会議を行う際に、すんなりと行ったかというとそうではありませんでした。

2014年に初めての経営戦略会議を行い、2015年度、2回目の経営戦略会議を控えたある日のことです。

幹部社員を中心にこのように言われました。

スタッフ

経営戦略会議は費用と時間が掛かるため、

それに費用を掛けるくらいなら社員のボーナスを増やして欲しい。

スタッフ

話し合いが必要であるならば、普通の会議のような形式でみんなで話し合ったほうが良いのでは?
費用をかけて、オペレーションを止めてまでわざわざ必要はない。

スタッフ

私たちは頑張っている。頑張った分だけ還元(ボーナス)が欲しい。

それがないと社員が全員辞めてしまう。

私からは、こうに伝えました。

私(前田千文)

会社の創業から15年間、今まで何度も社内だけで話し合い、

目標を設定してきました。

話し合いは感情論になるため、上手く行ったことがない。
冷静に会社のことを話し合いをしたい。
まずは2014年度の経営戦略を作成したので、
まずはその結果を、全員で共有したい。
達成した項目は、達成の原因を明確にし達成できなかった項目も同様に、
原因をフィードバックとして明確にしたい。

まずは、最低でも3回(2014、15、16年度)は経営戦略会議をやりたい。

私(前田千文)

経営戦略会議は“費用”ではなく“投資”である。

会社の5年後、10年後を見た場合に、今出来る最善策である。

私(前田千文)

今までも、還元している。

2015年からは週休二日制にしたり、年間休日を増やしている。
成果に応じてコミッションを導入し還元している。
土曜日休みになったことで、結果論として皆さんの給料は上がっている。

私なりに出来る範囲で、皆さんの要望には応えている。

私(前田千文)

みなさんが設定した目標を達成したら、当然としてボーナスとして還元する。

またしてきた。

プラス…

私からはこんな質問をしました。

私(前田千文)

あなたたちが自分で決めた目標を達成しなかった場合は、

社員のみなさんは私に何かしてくれるんですか?
 私は、みなさんが達成しなくても、給料は払いますし、
 会社が赤字でも、現金がなくても借金してまで私は払いました。
雇用も維持しました。
達成できなかったら、減給ですか?
土曜日の休みをカットしますか?

福利厚生、コミッションのカットですか?


もちろん、無言ですね。都合が悪いことは反応しないですね。

そして

私(前田千文)
みなさんが言う、“がんばっている”は明確ではありません。

“がんばる”の基準は、人それぞれ違います。

私は、出てきた結果(数字)で判断します。

結果が出ないのであれば、 “がんばる方法=やり方”が間違っているのでは?

間違いを修正しなければ、その頑張りは無駄になってしまいます。

今出ている“問題点”や“課題”は

間違った方法を見つけたという“フィードバック”です。

いかに経営者である私の考えに近い社員を育てるかが重要ですし

このやり取りから私自身、意図を伝える努力をしないといけないと痛感した出来事でした。

経営戦略会議は、2014年以降行っておりますが

すんなりと導入には至らず、最初は反発があったということをお伝えしておきます。

経営戦略会議の効果はあるのか?

みなさんが気になる経営戦略の効果についてですが、

私(前田千文)
絶対にあります。ただ、実践した場合のみ

です。

変なトレーニング、セミナー、対処療法的な教育とは比較にならないくらい効果があります。

私の会社に関して言えば、プロ意識が高い人材になりました。

自分自身で考え、行動できる人材に育ちました。

しかも、自分でなりました。

ここが1番の大きな効果です。

タイ人管理職の教育、一般社員の教育、会社経営・運営で行き詰っている方は

経営戦略会議を導入し実践することをオススメします。

経営戦略を通じ、会社の経営に社員を巻き込んだことが1番の教育になりました。

私が実感していることは社員だけではなく、

管理職、経営者としても磨かれると感じております。

何かのご参考になれば幸いです。

過去の経営戦略会議の様子

過去の経営戦略会議の様子です。

その時の気持ちがそのまま記載されています。

社員の様子も写真からわかると思いますので、ぜひご一読ください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事に関するコメントをお待ちしております!

コメントする

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次