「女社長の海外起業と経営術を語るブログ」にご訪問頂きありがとうございます。
このブログにたどり着いたというあなたは
外国や海外での起業、 もしくは海外に住んでみたい…など
どんな理由があるかはわかりませんが、
海外に興味があり、かつ、いつかは起業してみたいという方なのではないかと思います。
今日は、衝撃的なタイトルですが
『タイでの合法的な解雇方法: 仕事ができない人を辞めさせる際のステップと注意点』
についてお伝えいたします。
将来起業し経営者を目指している…
もしくは、部下がおり教育している人という前提で書きます。
「仕事ができない」とは具体的にどういう状態か?
私は2015年から泰日経済技術振興協会というところで
タイ法人の日本人社長向けにタイの労働法を教えています。
法律なので弁護士などの法律の専門家が教えた方が良いのではと思っておりましたが
私のように実務者(タイで会社を経営している。タイ人の従業員がいる。)に教えてもらいたい
という事でお声がかかりました。
労働法を教えていると、毎回同じ質問を受けるのですが
多く受ける質問の一つに
仕事ができない社員を辞めさせたい。
というものがあります。
労働法の講義の中で、毎回相談を受けるという事は
仕事ができない社員を辞めさせる…となった時に、
辞めさせ方がわからないのか(法律上の問題、手法など)、
もしくは、実際にトラブルになって困っているというケースがほとんどです。
そもそも…仕事ができないって何なのでしょうか?
実は経営者や管理者が思う「仕事ができる」、「仕事をやっている」と、
社員(部下)が思う「仕事ができる」、「仕事をやっている」が
合っていないことがほとんどです。
もし経営者と社員が思う「仕事ができる」、「仕事をやっている」が合っていれば
疑問を持つこともないでしょうし、
仕事ができない人を辞めさせたい…などと思わないはずです。
社員にこうやって言われたりします。
客観的な評価基準の設定方法
では、経営者が思う
「仕事ができる」、「仕事をやっている」はどのように把握するのでしょうか?
会社は多くの人が働き、
役職や業務年数に応じて階層になっているケースが多いと思います。
部長には、部長であるための
必要な能力、やらなければいけない仕事と期限、会社として望まれる人物像
などがあるはずです。
当然ながら、一般社員には一般社員としての…、
技術者には技術者としての
必要な能力、やらなければいけない仕事と期限、
会社として望まれる人物像などがあるはずです。
「仕事ができない」と言ったときに、職務だけではなく、
望まれる人物像も含まれていることがほとんどであり、
意外なことに、この部分を言語化していないために
客観性に欠けるという事が多くあります。
客観性に欠けるため、評価ができず、結果として
経営者と社員が思う
「仕事ができる」、「仕事をやっている」がズレるという事象が発生します。
では具体的に何をやればよいのでしょうか?
職務記述書(ジョブディスクリプション)を活用したパフォーマンスのチェック
まず、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成します。
私が今まで見てきた会社では、
経営者が思っているジョブディスクリプション(職務記述書)と
実際に現場にいる社員のジョブディスクリプション(職務記述書)が違う…
という事があります。
ですので、現場にいる社員に
実際にどんな仕事をやっているかを書き出してもらう必要があります。
また、ストレッチ目標として
もし、上のポジションに行きたいのであれば、お給料を上げたいのであれば
今できている仕事の他に頑張ってほしいこと(ストレッチ目標)も作成します。
これを基に、半年に1回、年に1回などチェック(査定)します。
職務管理表(チェックリスト)を用いた評価のポイント
ジョブディスクリプション(職務記述書)を基にした査定は期間が長いため
短いスパンでチェックすることをお勧めします。
会社には、大なり小なり「期限(締め切り)」というのが存在します。
上司であるあなたは部下に対して、何らかの依頼をすると思うのですが
これが期限通りにできているかをチェックします。
週単位でチェックしているケースが多いです。
依頼したことに対して、「出来ている/出来ていない」をチェックします。
会社の理想とする人物像の定義
望まれる人物像…
これは内面に関わることなので、言語化するのは難しいかもしれませんが
この部分は「会社のカラー」、「社風」と呼ばれたりします。
同じ業種の会社でも、会社によって雰囲気が違うのは
望まれる人物像が違うからだと考えられます。
例えばサントリーですと
「やってみなはれ」という言葉が望まれる人物像を表していると思います。
この言葉から、失敗してもいいから挑戦することに意味がある…と感じ取れます。
今まで述べたことを、
PDCAで継続していけば「仕事ができない」を客観的に把握できるため、
経営者と社員が思う「仕事ができる」、「仕事をやっている」と
「仕事ができない」、「仕事をやっていない」の差は縮まると感じます。
タイでの合法的な解雇の手順
労働者保護法と就業規則の確認ポイント
ここまで読んできて、気になるのは、
これらの手法がタイで事業をする上で問題ないのか…という事です。
日本人社長の多くは、こう言います。
これは、どちらもYESです。
日本で言う「労働基準法」に当たる法律は
タイでは「労働者保護法」と言います。
読んで字のごとく、労働者を保護する法律です。
経営者は権力者であり、労働者は弱者である…
その弱者である労働者を守りましょう…という法律です。
実際に訴訟も多いです。
日本は調停(労働審判)に際し、多少なりお金がかかりますが
タイでは、全ての費用(調停、裁判)が無料です。
電話一本、メール、窓口へ直接行く…簡単に会社を訴えられます。
発生件数は年間3万件ほどです。
では…経営者は何もできないのでしょうか?
不当解雇を避けるための注意点
タイは従業員の解雇に際し「明確な解雇理由を証明せよ」という姿勢です。
では、明確な解雇理由とは何でしょうか?
どのように証明するのでしょうか?
会社には就業規則というものがあります。
私が労働法の講義の際に、1番最初に教え、
最も長い時間と多くの事例を使って教えるのが、この就業規則です。
就業規則は、タイの労働者保護法を基に作成されており
就業規則を理解すれば、タイの労働者保護法を理解できるようになります。
また、タイの労働者保護法を理解できれば、就業規則を理解できます。
明確な解雇理由として、法律に違反する以外に
就業規則の中に、定型文として書かれている文言があります。
それは…
使用者の公平で公正な業務指示に従わない場合です。
ここに書かれている、業務指示とは先に述べた
になります。
ただし…
解雇というのは、会社が金銭を支払う/支払わないにせよ重い処罰であることから
最終的な判断となります。
就業規則には、必ず懲罰規定という項目があり
そこに就業規則に違反した場合の処罰の段階が必ず記載されています。
この段階に沿って、最終的に解雇する必要があることに注意が必要です。
不当解雇となるケース
不当解雇とは、
タイの労働者保護法に違反して解雇(会社側から従業員に対し雇用の終了)を行う場合です。
労働者保護法に沿って作成された就業規則に沿わずに解雇した場合となります。
今まで述べてきたことを、きちんと行い、証拠として残しておけば
万が一、訴えられたとしても不当解雇とは認定されません。
タイは日本と異なり、不当解雇と認定された場合は2つの選択があり
とされて
元の職場に戻るケースはまれで、金銭で解決されるケースがほとんどです。
最後に・・・
私は自分が経営者という立場、労働法を教えているという立場、
そして具体的な手法も知っていることから
解雇を勧めている…と勘違いされる人もいるかもしれません。
「知っている」と「実際にやっている」は異なり、
私は1度雇用したらできるだけ、労使双方がWin-Winになるように努めています。
お互い不幸にならないためにも
意思表示として、
明確に会社がっ求めている事ははっきりと明示した方が良いと考えています。
今日の内容が、何かのお役に立てれば幸いです。
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